血尿(尿潜血)|原因、検査、治療を解説します
こんにちは。仙台エールクリニック内科・腎臓内科、院長の宮内健一郎です。
健康診断で尿潜血陽性と判定されたことはありませんか?
尿が突然赤くなって驚いたことはありませんか?
血尿(尿潜血)は体からの「レッドフラッグサイン(危険な兆候)」です。
放っておくと透析が必要になったり、癌を見逃してしまったりする危険性があります。
血尿(尿潜血)の原因は何なのか、どんな検査が必要で、どう治療すれば良いのか、分かりやすく解説していきます。
血尿(尿潜血)とは?|体からの「レッドフラッグサイン」
血尿・尿潜血は血液の成分である赤血球が尿に混じっている状態で、レッドフラッグサイン(危険な兆候)かもしれません。尿は血液中の老廃物を捨てるために腎臓で作られますが、健康な時は赤血球が捨てられることはありません。腎臓か尿の通り道(尿管、膀胱、尿道)に病気があると、尿に赤血球が混じります。血尿を放っておくと、腎機能が低下して透析が必要になったり、癌を見逃したりしてしまいます。
血尿(尿潜血)の症状|無症状で見た目も正常な血尿がある
実は、無症状で見た目が正常な血尿でも重い病気が隠れているかもしれません。
激しい腰の痛み、残尿感、排尿時の痛みなど、症状を伴う血尿は何らかの病気が隠れている可能性が高いです。
しかし、症状が無く尿の見た目も変わらない血尿でも、尿潜血がプラスマイナス程度でも、重症な腎炎や初期の癌が隠れていることがあります。
血尿を指摘されても症状が無いからと言って放っておかず、しっかりと原因を調べることが大切です。
血尿(尿潜血)の原因|腎臓病と癌に注意
- ① 腎臓病
- 腎炎、遺伝病など
- ② 癌
- 腎癌、尿管癌、膀胱癌、前立腺癌など
- ③ 尿路結石
- 腎盂結石、尿管結石、膀胱結石など
- ④ 感染症
- 膀胱炎、前立腺炎、腎盂腎炎、性感染症(尿道炎)など
- ⑤ その他
- 月経血の混入、遊走腎、溶血性疾患、横紋筋融解症、ナットクラッカー症候群など
表の通り血尿の原因はたくさんありますが、特に①腎臓病と②癌が重要です。
どちらも無症状のことが多く、見逃した場合に取り返しがつかなくなる可能性があります。
③尿路結石と④感染症は起こりやすい原因です。軽症なら外来で治療できますが、重症だと入院が必要になることもあります。
血尿(尿潜血)の検査|まずは健康診断のような体に負担のかからない検査から
- 尿検査
- 赤血球の数、尿タンパクの量、尿中円柱など
- 尿細胞診
- 癌細胞
- 血液検査
- 腎機能(血清クレアチニン)、炎症反応(白血球数、CRP)など
- 腹部X線写真
- 尿路結石
- 超音波・CT
- 腎臓、膀胱、前立腺など
まずは上の表のように体に負担がかからない検査を、健康診断より項目を増やして行います。
原因がある程度絞り込めたら、下の表の検査を行うこともあります。
- 腎生検
- 背中から針を刺して腎臓の組織を採る検査(要入院)
- 腎盂造影検査
- 造影剤を使って腎臓、尿管、膀胱の形をX線で撮影する検査
- 膀胱鏡検査
- 尿道から膀胱の中に内視鏡を入れる検査
血尿(尿潜血)の治療|多彩な原因に合わせた治療が大切
- ① 腎臓病
- 腎保護薬、ステロイド薬など
- ② 癌
- 手術、化学療法(抗癌剤)放射線療法など
- ③ 尿路結石
- 鎮痛薬、排石促進薬、体外衝撃波結石破砕療法、手術など
- ④ 感染症
- 抗菌薬(抗生物質)など
①腎臓病は腎臓を守る薬(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、SGLT2阻害薬など)や炎症を抑えるステロイド薬が使用されます。
②癌は進行度に合わせて色々な治療法を組み合わせて治療されます。
③尿路結石は10㎜以内の大きさならまず自然な排石を目指します。排石されない場合や石が大きい場合は衝撃波で石を砕く治療や手術が行われます。
④感染症は原因となった細菌に効く抗菌薬(抗生物質)を使用します。
まとめ|血尿(尿潜血)を指摘されたら必ず受診を
血尿(尿潜血)は体からの「レッドフラッグサイン」であり、早めに対処することが重要ということがお分かりいただけたでしょうか?
血尿を放っておいて透析になってしまった患者さんや、癌が進行してしまった患者さんを、私はこれまでたくさん診てきました。
そしてその度に、早期発見・早期治療の重要性を痛感してきました。
血尿はたとえ軽度でも重大な病気が隠れている可能性がありますから、将来の健康を守るためにもぜひ専門医療機関の受診をご検討ください。
当院は患者さんと同じ目線に立ち、ライフスタイルに合った検査・治療を心がけています。血尿(尿潜血)でお悩みの方はお気軽にご相談ください。