ネフローゼ症候群・IgA腎症|原因、検査、治療を解説します
こんにちは。仙台エールクリニック内科・腎臓内科、院長の宮内健一郎です。
腎臓内科の代表的な疾患であるネフローゼ症候群とIgA(アイジーエー)腎症について、原因、検査、治療を分かりやすく解説します。
- 目次
-
- ネフローゼ症候群
- IgA腎症
ネフローゼ症候群
ネフローゼ症候群とは?|タンパク尿が大量に出て全身がむくむ病気
ネフローゼは大量のタンパク尿で血液中のタンパクが減り(低タンパク血症)、全身のむくみ(浮腫)が出ます。血栓症(肺梗塞、脳梗塞、心筋梗塞)や感染症などの重大な合併症が起こる危険性もあるため、発症したら早急に検査治療が必要です。
ネフローゼ症候群(成人)の診断基準
②低アルブミン血症:血清アルブミン 3.0 g/dL以下
③浮腫
④脂質異常症(高LDLコレステロール血症)
(① タンパク尿と②低アルブミン血症は必須項目)
ネフローゼ症候群の症状|むくみ、体重増加、尿の泡立ち
ネフローゼは全身のむくみ、体重増加、尿の泡立ちなどの症状が起こります。
症状は一週間で急激に出てくることもあれば、数か月かけて出てくることもあります。
ネフローゼ症候群の原因|腎疾患以外が原因の場合も
ネフローゼ症候群の原因
- 腎疾患
- 微小変化型、巣状分節性糸球体硬化症、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎など
- その他
- 糖尿病、全身性エリテマトーデス、悪性腫瘍、血液疾患、アミロイドーシス、薬剤の副作用など
ネフローゼは腎臓に異常が起きている病気ですが、腎疾患以外の原因によって引き起こされることもよくあります。
原因によって治療法が変わるため、検査でしっかりと見分けることが重要です。
ネフローゼ症候群の検査|尿検査と血液検査に加えて腎生検も検討
ネフローゼの検査では腎生検(腎臓の組織を顕微鏡で調べる検査)が検討されます。
尿検査、血液検査、画像検査(超音波やCT)だけで原因を完全に見分けるのは難しいことが多いです。
ネフローゼ症候群の治療|腎疾患ならステロイドなどの薬物療法が中心
腎疾患が原因の場合、ステロイドなどの免疫を抑える薬物療法が中心になります。
ネフローゼは原因によって再発の恐れもあり、落ち着いた後も定期的な通院が必要になることも多いです。
IgA腎症
IgA腎症とは?|IgAが腎臓に炎症を引き起こす病気
IgA(アイジーエー)腎症は免疫グロブリンの一種であるIgAが腎臓に沈着し、炎症を引き起こす病気です。
IgAは体内の細菌やウイルスを攻撃するための物質で、健康な人にも存在します。
しかし、何らかの原因で異常なIgAが作られるようになると、腎臓に沈着してIgA腎症を発症すると考えられています。
IgA腎症の症状|風邪をきっかけに血尿が出ることも
IgA腎症の初期は症状がありませんが、健診などの尿検査で尿潜血(血尿)が認められます。
IgA腎症の血尿が風邪や扁桃炎をきっかけに目で見てわかる血尿(肉眼的血尿)に悪化することもあります。
IgA腎症の原因|扁桃が関係している?
IgA腎症の根本的な原因はまだ完全には解明されていません。
しかし、のどの奥にある扁桃が異常なIgAを作り、IgA腎症に大きく関わっていると考えられています。
IgA腎症の検査|腎機能、尿タンパク量、腎生検で重症度を診断
IgA腎症で重要な検査は血液検査、尿検査、腎生検です。
血清クレアチニン(腎機能)、尿タンパク量、腎組織の状態でIgA腎症の重症度を診断します。
IgA腎症の治療|腎保護薬、ステロイド治療、扁桃摘出術など
IgA腎症は放っておくと将来透析になりかねない病気です。
腎保護薬(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、SGLT2阻害薬など)で腎臓へのダメージを減らします。
重症度によっては腎臓の炎症を抑えるステロイド治療や扁桃を取る手術を併用することもあります。
まとめ
ネフローゼ症候群とIgA腎症の原因、検査、治療についてお分かりいただけたでしょうか?
これらの病気は検査・治療で入院が必要になることが多いため、当院は県内の基幹病院と連携しながら診療を行っています。
当院は患者さんと同じ目線に立ち、ライフスタイルに合った検査・治療を心がけています。腎臓の病気でお悩みの方はお気軽にご相談ください。